神戸大学演劇研究会 はちの巣座 稽古日誌~Bee Happy~

神戸大学演劇研究会はちの巣座のブログ。レッスンデイズ、部員の毎日、など。

病室大好きの巣座@冖

どうも、冖です。
さっそく作り話リレーをどうぞ!

……………………………………………………………

僕の目に映ったもの、それは巨大なジャガイモでした。
皮をむかれたジャガイモのかけらが遙かな水面からドボドボと降ってきているのです。
僕は最初何のことだかわかりませんでしたから、興味深げにそれを眺めていました。
その次に降ってきたものは赤いかけらで、どうやらニンジンのようです。
そのまた次には牛肉のようなものが降ってきて、すでに炒められているような色です。
その瞬間僕は戦慄しました。
「この湖、カレーにされる……!」

そうです。詳しいことは分かりませんが、誰かがこの湖の上から具材を投入し、
一皿の広大なカレーにしてしまおうと目論んでいることに気づいたのです。
「となると、僕たちはもうすぐ煮られてしまう!」
改めて水底のほうを見ると、ドククラゲのようだったものは実は、
温度の変化により逆巻いて沸き上がった水の流れのひとつひとつでした。
もうすぐそこまでマグマのような熱は迫ってきています。
僕は恐怖に耐えられず、一目散に水面を目指して泳ぎました。
しかしあと数メートルのところで、突然かの鯉が僕の前に追いつきます。
鯉は僕と向かい合い、そのヒゲに緊張をもって僕の眼を見据えました。
鯉の目には、言葉が伝わらない事への諦念と、それでも僕に伝えたい強い何かがきらめいています。
僕はさぐりさぐり、なでるようにその何かを読み取ろうとしました。
音のない時間。すると不思議と勇気が心の奥からほのかに芽吹いてきます。
はじめの僕の決断は間違っていない。この子と話せるようになりたい。
この子と話せるようになりたい。
いつの間にかそう確信して僕は再び水底に切り返しました。
肌が崩れ落ちそうな熱さと、骨がちぎれそうな激しい水流に自然と涙が出て、
それでも胸にある決意が柱となって僕をただ一点へ、
イチジクあんが入った光り輝くまんじゅうへと引き寄せていきました。
意識と身体の二つが別々の領域を持っているとしたら、先に無明へ落ちたのは意識のほうでした……

……
「……ここは?」
気がつくと僕は小さな洞穴のようなところに来ていました。
びしょびしょに濡れそぼった服はところどころ破けていて、手も足も線条の傷だらけです。
明るい水色の鍾乳洞が連なる空間の真ん中に、
光り輝くまんじゅうがありました。
鯉は傍らの水たまりでぐったりしています。僕はまんじゅうを齧り、
鯉に話しかけました。
「大丈夫かい?」
すると鯉もニヒルな声でこたえます。
「きみにそんなに根性があるなんて、思ってもみなかったよ」
「君のおかげだよ、ありがとう」
「いいんだ、ぼくのためでもあるんだからさ」
「……いままで、君は一体何を話そうとしていたんだい?」
「……それはね……」
そこまで言うと鯉は突如跳ね上がり、黒いローブを着た骸骨の姿に変身しました。

「弱ったきみの魂を……」



ある病室。冬。暖かく風が光っている。
そこに色彩はほとんど無く、やわらかそうなシーツの感触と、
ビンに差された、細い茎のタンポポだけがある。
そのタンポポの右のベッドには男が、左のベッドには女が横たわっている。
どちらも、頭に包帯を巻いている。
カツンカツンと靴の音がして、部屋と同じように真っ白な医者が
一皿のカレーを片手に、スプーンをもう片手に持ちながら入ってきた。
香ばしい匂いが部屋に満ちると、それに
つられるかのように女がうわごとをつぶやいた。
「ごめんなさい……湖をめちゃくちゃにすれば……」
「あなたがまた……」
「ここで、ボートを一緒に……」
その言葉を医者は聞いていた。
彼女の回復は近いだろう、と思いながら。
男のほうの容体の悪化を、半ば諦めの目で眺めながら。
シミが白衣につかないよう、器用にカレーを食べながら。

……………………………………………………………

以上です。長くなりました。
嘘にまつわる何かを忘れてましたね。
えーっと、ホンジャマカって最初は11人いたんですよ。知ってました?
嘘です。

次はヤマダノビッチおねがいします! フゥーフ!
  1. 2016/12/01(木) 16:58:36|
  2. 約三十の嘘
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  4. | コメント:0
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神戸大学演劇研究会はちの巣座と申します。稽古したり、公演うったり、さぼったり、遊んだり。

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